September 11, 1997 Vol. 337 No. 11
原発性 MHC クラス II 欠損症における MHC クラス II 遺伝子の制御因子である RFXAP の変異
MUTATION OF RFXAP, A REGULATOR OF MHC CLASS II GENES, IN PRIMARY MHC CLASS II DEFICIENCY
J. VILLARD AND OTHERS
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラス II 欠損症は,MHC クラス II 分子が存在しない常染色体劣性原発性免疫不全疾患である.これは,MHC クラス II 遺伝子発現を制御するいくつかのトランス活性化遺伝子の欠損に起因する遺伝子制御の遺伝的ヘテロ接合疾患である.MHC クラス II 欠損症の原因となる変異は,相補性グループ(表現系が一対の細胞融合においても修正されないまま残っているグループ)に従って分類される.既知の相補性グループは三つある(A,B,および C).
遺伝的に分類されていない MHC クラス II 欠損症患者における遺伝子欠損を解明するために,われわれは,MHC クラス II 遺伝子の発現を制御することが知られている 三つの遺伝子 CIITA,RFX5,および RFXAP による直接相補性アッセイを実施し,各患者において関連する変異を特定した.
血縁関係のない患者 3 例で RFXAP 遺伝子に変異が認められ,それによる欠損は新規の相補群(D 群)に属するものと分類された.野生型の RFXAP 遺伝子をトランスフェクトさせると,患者の細胞に MHC クラス II 分子の発現が回復した.
新規 MHC クラス II トランス活性化因子 RFXAP の変異は,MHC クラス II 欠損症を引き起し得る.これらの変異は MHC クラス II 遺伝子の発現を完全にとどめ,その他の二つの MHC クラス II 制御遺伝子変異患者と同じ臨床特徴を有する免疫不全症にいたる.