男性における水分摂取と膀胱癌のリスク
Fluid Intake and the Risk of Bladder Cancer in Men
D.S. MICHAUD AND OTHERS
実験動物における研究では,排尿の頻度と泌尿器上皮細胞における発癌性物質のレベルとの負の関連が示されている.ヒトでは,水分の総摂取量の増加が,尿中代謝産物の希釈と排尿の頻度を増加させることによって,発癌性物質と泌尿器上皮細胞との接触を減少させる可能性があると考えられる.膀胱癌のリスクに関する水分摂取のデータは,結論が得られるような決定的なものではない.
男性医療専門職の前向きコホート研究である the prospective Health Professionals Follow-up Study の 47,909 人の参加者を対象として,10 年間にわたって水分の総摂取量と膀胱癌のリスクとの関連性を調査した.この追跡調査期間中に,新たに膀胱癌と診断されたのは 252 例であった.水分の総摂取量についての情報は,食物摂取頻度調査票に回答された 22 種類の飲物の摂取頻度から求めた.この調査票には,1986 年の時点において癌にかかっていなかった 47,909 例の各参加者が各質問への回答を記入した.既知および疑いのある膀胱癌の危険因子を補正するために,ロジスティック回帰分析を実施した.
1 日当りの水分の総摂取量は,膀胱癌のリスクと負の関連があった;1 日当りの水分の総摂取量の最小五分位群(<1,290 mL/日)と比較したときの,総摂取量の最大五分位群(>2,531 mL/日)の多変量相対危険度は 0.51(95%信頼区間,0.32~0.80)であった.水の摂取も(<240 mL [コップ 1 杯]/日に対する≧1,440mL [コップ 6 杯]/日の相対危険度,0.49 [95%信頼区間,0.28~0.86]),他の水分の摂取と同様に(<735 mL/日に対する>1,831 mL/日の相対危険度,0.63 [95%信頼区間,0.39~0.99]),リスクの低下に寄与していた.
水分の多量摂取は,男性における膀胱癌のリスクの低下と関連している.