The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

July 22, 1999 Vol. 341 No. 4

急性冠動脈症候群の患者における性別,臨床所見,および転帰
Sex, Clinical Presentation, and Outcome in Patients with Acute Coronary Syndromes

J.S. HOCHMAN AND OTHERS

背景

これまでの研究で,急性心筋梗塞の女性は入院中および長期の転帰が男性よりも不良であることが報告されている.

方 法

急性冠動脈症候群の臨床所見と,その転帰における性差を評価するために,われわれは,急性冠動脈症候群 IIb における閉塞冠動脈の再疎通治療戦略の国際的使用(the Global Use of Strategies to Open Occluded Coronary Arteries in Acute Coronary Syndromes IIb study)の研究データを用いて検討した.この研究には,ST 上昇を伴った心筋梗塞,ST 上昇を伴わない心筋梗塞,および不安定狭心症を含む急性冠動脈症候群の患者 12,142 例(女性 3,662 例,男性 8,480 例)が組み入れられていた.

結 果

全体では,女性は男性よりも年齢が高く,糖尿病および高血圧症を有する割合と,うっ血性心不全の既往を有する割合が有意に高かった.逆に,女性患者には心筋梗塞の既往を有する割合が有意に低く,喫煙経験のある者の割合が低かった.女性では,男性より,ST 上昇を伴った心筋梗塞の割合(27.2% 対 37.0%,p < 0.001)が低く,また,ST 上昇を認めない患者(心筋梗塞または不安定狭心症の患者)の中では心筋梗塞の割合(36.6% 対 47.6%,p < 0.001)が低かった.女性は,入院中の合併症の発現が男性よりも多く,30 日目までの死亡率も高かったが(6.0% 対 4.0%,p < 0.001),臨床症状の発現から 30 日目までの再梗塞の発症率は同程度であった.しかし,性別と臨床症状が発現した時点の冠動脈症候群の病型には,有意な交互作用が認められた(p = 0.001).冠動脈症候群により層別し,試験開始時のベースラインの変数での補正を行うと,心筋梗塞に ST 上昇を伴った群でのみ,女性の死亡または再梗塞のリスクに,男性と比較して有意ではなかったものの上昇傾向が認められた(オッズ比,1.27; 95%信頼区間,0.98 ~ 1.63; p = 0.07).不安定狭心症の患者では,女性という性別に,他の因子から独立した予防効果があることが認められた(心筋梗塞または死亡のオッズ比,0.65; 95%信頼区間,0.49 ~0.87; p = 0.003).

結 論

急性冠動脈症候群の女性と男性では,臨床的特徴,臨床所見,および転帰が異なっていた.これらの相違は,ベースラインの患者特性だけでは完全に説明することができず,男女の病態生理学的および解剖学的な差が反映されている可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 226 - 32. )