The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 22, 2001 Vol. 344 No. 12

心不全のある心室内伝導遅延患者における多部位刺激両室ペーシングの効果
Effects of Multisite Biventricular Pacing in Patients with Heart Failure and Intraventricular Conduction Delay

S. CAZEAU AND OTHERS

背景

慢性心不全患者の 1 / 3 は,心電図に主要心室内伝導遅延の所見があるが,この心室内伝導遅延は,非同期性心室収縮によって左室収縮機能障害を悪化させる可能性がある.非比較試験では,多部位刺激両室ペーシングは,心室の非同期性を軽減させることによって,血行動態を改善し,より大きな福利をもたらすということが示唆されている.われわれは,この新しい治療法の臨床有効性と安全性についての評価を行った.

方 法

慢性の左室収縮機能障害による重症心不全(ニューヨーク心臓協会分類の III)で,洞リズムは正常で,QRS 間隔の持続時間が 150 msec を超えていた患者 67 例に,経静脈的心房心室ペースメーカ(片方の心房と両方の心室のそれぞれにリードを挿入)の治療を行った.今回実施した単盲検無作為クロスオーバー比較試験では,以下の二つの試験期間における患者の治療に対する反応を比較した:3 ヵ月間の不活性ペーシング(基本ペーシング速度を 40 bpm として,心室ペーシングを遮断)と 3 ヵ月間の活性ペーシング(1 心房 2 心室).主要エンドポイントは 6 分間の歩行距離とした;副次的エンドポイントは,質問票で測定した QOL,最大酸素消費量,心不全に関連した入院,各治療に対する患者の好み(活性 対 不活性ペーシング),および死亡率であった.

結 果

9 例の患者が無作為化前に試験を中止し,10 例の患者は二つの試験期間を完了できなかった.したがって,本試験の両方の試験期間を完了した患者は 48 例であった.活性ペーシングでは,6 分間の平均(± SD)歩行距離が 23%延長し(399 ± 100 m 対 326 ± 134 m,p < 0.001),QOL のスコアが 32%改善し(p < 0.001),最大酸素摂取量が 8%増加し(p < 0.03),入院が 2 / 3 減少し(p < 0.05),患者の 85%に好まれていた(p < 0.001).

結 論

1 心房 2 心室ペースメーカは,技術的には複雑であるが,慢性心不全のある心室内伝導遅延患者の運動耐性と QOL を有意に改善させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 873 - 80. )