The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 22, 2001 Vol. 344 No. 12

骨髄機能非破壊前処置での T 細胞除去同種造血細胞移植による慢性肉芽腫症の治療
Treatment of Chronic Granulomatous Disease with Nonmyeloablative Conditioning and a T-Cell-Depleted Hematopoietic Allograft

M.E. HORWITZ AND OTHERS

背景

従来の同種造血幹細胞移植による慢性肉芽腫症の治療は,重篤な合併症や死亡という高いリスクを負っている.われわれは,レシピエントの骨髄機能を破壊せずに行う幹細胞移植の実施の可能性について検討した.

方 法

5 例の小児と 5 例の成人から成る慢性肉芽腫症の患者 10 例に,HLA 一致同胞からの末梢造血幹細胞移植を実施した.われわれは,骨髄機能を破壊せずに,シクロホスファミド,フルダラビン,および抗胸腺細胞グロブリンを投与するレジメンを使用した.重症の移植片対宿主病のリスクを低下させるために,採取した同種移植細胞から T 細胞を除去した.また,移植細胞の生着を促すために,移植後に,ドナーのリンパ球を 30 日以上の間隔を設けて投与した.

結 果

追跡調査期間の中央値であった 17 ヵ月間(範囲,8 ~ 26 ヵ月間)が経過した時点における循環血液中のドナー由来好中球の割合は,10 例の患者のうちの 8 例において 33 ~ 100%で,宿主を正常に防御できると予想されるレベルであった;このうちの 6 例は,ドナー由来好中球の割合が 100%に達していた.移植細胞の拒絶反応は 2 例の患者に起った.急性の移植片対宿主病(grade II,III,または IV)は,移植細胞の生着が認められた 4 例の成人患者のうちの 3 例に発症し,そのうちの 1 例は慢性の移植片対宿主病へと移行した.小児の患者では,grade II,III,または IV の急性移植片対宿主病は発症しなかった.重症の感染症は,追跡調査の期間中に,移植細胞の生着が認められた患者に 4 件発生した.また10 例のレシピエントのうち, 3 例が死亡した.移植が成功した患者では,移植前に存在していた肉芽腫病変は消散した.

結 論

骨髄機能を破壊しない前処置で T 細胞を除去する同種造血幹細胞移植は,生命にかかわる感染症の再発を繰り返している慢性肉芽腫症で HLA 一致家族ドナーのいる患者には,実施可能な治療選択枝の一つである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 881 - 8. )