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December 27, 2001 Vol. 345 No. 26

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全身強直性症候群に対する高用量免疫グロブリンの静脈内投与
High-Dose Intravenous Immune Globulin for Stiff-Person Syndrome

M.C. DALAKAS AND OTHERS

背景

全身強直性症候群は,満足できる治療法のない,中枢神経系が障害される疾患であり,筋強直,反復性の筋痙攣,グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD65)に対する高力価の抗体,および高頻度に認められる自己免疫疾患との関連が特徴である.全身強直性症候群には免疫が介在していると考えられるため,免疫グロブリンの静脈内投与の有効性について評価した.

方 法

全身強直性症候群で抗 GAD65 抗体が出現していた 16 例の患者を,免疫グロブリンまたはプラセボを 3 ヵ月間の静脈内投与し,その後 1 ヵ月間のウォッシュアウト期間を設けて,3 ヵ月間もう一方の薬剤を投与する治療に,無作為に割付けた.有効性は,強直分布指数および高感度感受性尺度のスコアの,各治療期の 2 ヵ月目および 3 ヵ月目におけるベースライン(試験 1 ヵ月目)からの改善によって判定した.治療の直接効果と持ち越し効果を 2 群間で比較した.

結 果

最初に免疫グロブリンの投与を受けた患者では,免疫グロブリン療法中に強直スコアが有意に低下し(p=0.02),高感度感受性スコアも大きく低下したが,プラセボ投与中にもとに戻った.これに対して,最初にプラセボの投与を受けた患者群のスコアは,プラセボ投与中には変化はなかったが,免疫グロブリン療法中に有意に低下した(p=0.01).このデータを直接効果と一次の持ち越し効果について解析すると,強直スコアには免疫グロブリン群とプラセボ群のあいだに有意差が認められ(それぞれ,p=0.01 および p<0.001),感受性スコアには免疫グロブリン療法に有意な直接効果があることが認められた(p=0.03).免疫グロブリンの投与を受けた患者の 11 例は,より楽にあるいは介助なしに歩行できるようになり,転倒頻度も減少し,仕事や家事を行えるようになった.免疫グロブリンのこの有益な効果の持続期間は,6 週間から 1 年間と,さまざまであった.抗 GAD65 抗体価は,免疫グロブリン療法後に低下したが,プラセボ投与後には抗体価の低下は認められなかった.

結 論

免疫グロブリンの静脈内投与は,全身強直性症候群で抗 GAD65 抗体が出現している患者にとって,高価であるが,忍容性に優れた有効な治療法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1870 - 6. )