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August 14, 1997 Vol. 337 No. 7

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不安定冠動脈疾患に対する低分子量ヘパリンと未分画ヘパリンの比較
A COMPARISON OF LOW-MOLECULAR-WEIGHT HEPARIN WITH UNFRACTIONATED HEPARIN FOR UNSTABLE CORONARY ARTERY DISEASE

M. COHEN AND OTHERS

背景

ヘパリン+アスピリンによる抗血栓療法は,不安定冠動脈疾患患者における虚血性イベントの発生率を減少させる.低分子量ヘパリンは,標準的な未分画ヘパリンより抗凝固効果を予測しやすく,投与が容易で,しかもモニタリングを必要としない.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,安静時狭心症または非 Q 波心筋梗塞患者 3,171 人を無作為割付けして,エノキサパリン(低分子量ヘパリン)1 mg/kg 体重を 1 日 2 回皮下投与,または未分画ヘパリンの連続静注を行った.治療は最短 48 時間から最長 8 日間継続し,重要な冠動脈エンドポイントに関するデータを 30 日間にわたって収集した.

結 果

14 日目では,死亡,心筋梗塞,または再発性狭心症のリスクは,エノキサパリン群の患者では未分画ヘパリン群の患者より有意に低かった(16.6% 対 19.8%,p = 0.019).30 日目では,この複合エンドポイントのリスクは,エノキサパリン群では依然として低かった(19.8% 対 23.3%,p = 0.016).30 日目での血管再生術の必要性も同様に,エノキサパリン群の患者では有意に低かった(27.0% 対 32.2%,p = 0.001).30 日間の大出血合併症の発生率は,エノキサパリン群で 6.5%そして未分画ヘパリン群で 7.0%であったが,出血全体の発生率は,エノキサパリン群では主として注射部位の斑状出血のため,有意に高かった(18.4% 対 14.2%,p = 0.001).

結 論

エノキサパリン+アスピリンによる抗血栓療法は,未分画ヘパリン+アスピリンより,初期の不安定狭心症または非 Q 波心筋梗塞患者における虚血性イベントの発生率の減少に有効であった.エノキサパリンのこの有効性は軽度の出血増加を伴うが,大出血の増加は認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 447 - 52. )