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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 6, 2001
Vol. 345 No. 23

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 転移性腎細胞癌に対する腎摘出術
    Nephrectomy for Metastatic Renal-Cell Cancer

    転移性腎細胞癌に対する腎摘出術

    転移性腎細胞癌は,細胞毒性のある化学療法や放射線療法には抵抗性を示すが,多様な免疫療法には反応する場合がある.この前向き無作為割付け試験では,腎摘出術とインターフェロンα-2b による免疫療法の併用で,免疫療法単独の場合よりも生存期間が延長することが示された.

    腎摘出術の利益は,有意差があったが,劇的に大きなものではなかった:腎摘出術に続いてインターフェロンの治療を受けた患者における生存期間の中央値は,インターフェロンの単独治療を受けた患者よりも 3 ヵ月長い.そのうえ,1 年後の時点で生存していたのは,臨床試験に参加した全患者の 8%のみであった.転移性腎細胞癌の予後は厳しいので,新規治療として可能性のあるものは,何であれ検討に値する.

  • 早期産児におけるフルコナゾールの予防的投与
    Fluconazole Prophylaxis in Preterm Infants

    早期産児におけるフルコナゾールの予防的投与

    侵襲性真菌感染症は,早期産児において相当数の疾患と死亡を引き起す.単一施設におけるこの二重盲検,プラセボ対照試験では,抗真菌薬であるフルコナゾールの予防的投与を 6 週間受けた超低出生体重児は,真菌コロニー形成と全身性真菌感染症の発生率が,対照新生児より有意に低かった.フルコナゾールに対する耐性が生ずることはなく,肝酵素に対する有害作用もなかった.

    フルコナゾールの予防的使用により,超低出生体重の早期産児における侵襲性真菌感染症の発生率を安全に低下させることが可能である.この治療介入は,他施設でのさらなる検討に値する.

  • 慢性心不全に対するアンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタン
    Valsartan, an Angiotensin-Receptor Blocker, in Chronic Heart Failure

    慢性心不全に対するアンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタン

    アンジオテンシン II は,心不全の進行に関与する場合がある.この臨床試験では,アンジオテンシン受容体拮抗薬であるバルサルタンにより,心不全による入院の必要性が低下したが,全死亡率には効果がなかった.事後解析では,バルサルタン投与を受けながら,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とβ遮断薬の 2 剤の投与も受けていた患者の死亡率が上昇した.この 2 剤のいずれかの投与を受けていた患者と,いずれの投与も受けていなかった患者では,バルサルタンにより死亡率が低下した.

    バルサルタンにより心不全患者の入院の必要性が減少するという知見は,ACE 阻害薬とβ遮断薬の投与をすでに受けていた患者ではバルサルタンで死亡率が上昇するという事後解析の結果により,留保が生じた.アンジオテンシン受容体拮抗薬が心不全の治療に中心的な役割を果すか否かをさらに明らかにするうえで,現在進行中の他の試験が待たれるところである.

CLINICAL PRACTICE

  • 心臓以外の手術における心臓リスク
    Cardiac Risks of Noncardiac Surgery

    心臓以外の手術における心臓リスク

    65 歳の男性が,腹部大動脈瘤の切除を必要としている.患者は,はるか以前に心筋梗塞の既往があるが,狭心症のエピソードはほとんどない.最近行った冠動脈造影では,左回旋枝に 70%を超える狭窄を認める.この患者の術中の心臓合併症のリスクを最小限にするために,なにが可能だろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 腸間膜静脈血栓症
    Mesenteric Venous Thrombosis

    腸間膜静脈血栓症

    腸間膜静脈血栓症は,上腸間膜静脈が通常関与し,腸梗塞の危険がある.新しい画像診断法により,早期診断が可能となった.大半の患者に,素因となる病態(血栓形成を促進する状態,膵炎,最近の腹部手術歴など)が確認できる.治療は抗凝固療法を行うが,早期に正確な診断がつけば,手術を回避できる場合もある.

MECHANISMS OF DISEASE

  • うっ血性心不全におけるアルドステロン
    Aldosterone in Congestive Heart Failure

    うっ血性心不全におけるアルドステロン

    強力な鉱質コルチコイドであるアルドステロンは,うっ血性心不全の病因に多様な役割を果している.アルドステロンは,塩分と水分の貯留に寄与するだけではなく,臓器の線維化も促進する.アンジオテンシン変換酵素阻害薬は,心不全に対して重要な治療効果があるものの,アルドステロンの作用を消失させるわけではない.そのため最近の研究では,スピロノラクトンのようなアルドステロン受容体拮抗薬の,慢性心不全治療における有用性が強調されてきている.この総説は,アルドステロンの作用機序と,その治療的意義について,最新の知見を詳細に示している.